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名古屋国税局の令和元事務年度の相続税の調査等の状況が令和2年12月21日に名古屋国税局のホームページに掲載されましたので、最新の名古屋近辺での税務調査の確率と傾向を相続税専門の税理士がお伝えいたします。
なお、名古屋国税局の管轄の地域は、愛知県・岐阜県・三重県・静岡県ですので、東海地域4県のデータとしてご参照ください。
相続税の申告書を税務署に提出してから、税務署内部で申告書の内容を確認しますので、税務調査のお知らせが来るまでは、半年から一年半くらいの期間が多いです。
税務署では7月に職員の異動がございますが、異動後に優先度の高い案件から税務調査に着手します。そのため、7・8月の異動直後に行われる税務調査は調査官も時間的に余裕があるため調査が重くなりやすく、冬・春になるにつれ、短期間で終わる調査が多くなります。
統計で発表される件数と事務年度は必ずしも一致しませんが、前年の申告件数から判断しますと、令和元事務年度の相続税の税務調査の確率は、コロナ禍が影響したのかわかりかねますが、8.3%と昨年の11.5%に比べると低い数値になりました。
来年は反動で相続税の税務調査の件数が増える可能性がないとは言い切れませんので、基礎控除が引き下げられてからの相続税の税務調査の確率は約1割と考えておくとよいでしょう。
平成31年10月末までに愛知県・岐阜県・三重県・静岡県に提出された相続税の申告書は、1年間で17,480件(納税額があるもののみ)でした。
小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減などの特例適用により税額がゼロになる場合でも、特例を適用するために相続税の申告書を提出することが必要ですので、納税額がゼロの人も含めると、相続税の申告書を提出した人の割合は14.1%でした。
項目 | 平成30年分 (※1) |
---|---|
被相続人数 | 154,767人 |
相続税の申告書を提出した 被相続人数 | 17,480人 (21,802人(※2)) |
相続税の申告をした 被相続人の割合 | 11.3% (14.1%(※2)) |
(※1)平成31年10月31日まで提出された申告書のデータ。
(※2)相続税額がない申告書も含む。
基礎控除が3,000万円に引き下げられてからは、相続税の税務調査の確率はおおよそ10%台の前半で推移していました。
令和元事務年度はコロナ禍の影響により、調査件数が減少した可能性がございます。
項目 | 令和元 事務年度 |
---|---|
実地調査件数 | 1,451件 |
平成30年分の 提出件数との割合 | 8.3% (6.6%(※2)) |
調査で申告漏れ等が 指摘された割合 | 84.8% |
重加算税が 賦課された件数 | 266件 |
重加算税になった割合 | 21.6% |
申告漏れが指摘された 課税価格 (1件あたり) | 2,733万円 |
追加の税額 (本税・加算税) (1件あたり) | 571万円 |
上記の資料より、相続税の税務調査で追加で見つかる財産の平均額は2,733万円です。
相続財産のうち、土地が占める割合は平均で4割弱ですが、下記の税務調査で指摘される財産の金額の割合でも土地は約1割しかございませんので、土地を過少申告して修正を求められるケースはあまり多くはございません。(逆に土地を過大評価していても税務署が修正するように言うのは稀です。)
現金・預貯金・有価証券は調査で指摘される金額の割合では4割超、その他の財産も同様に4割超です。
この文章をお読みいただいている方の中には、預貯金や有価証券は残高証明書通りに計上すれば、間違えるものではないとお思いになる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、この2つのカテゴリーで税務調査で指摘される金額の構成比が8割を超えますが、名義預金(名義保険・名義株も含む)やご親族様への過去の贈与、現金・家庭用財産等の現物で指摘されるケースが多いです。
申告漏れ相続財産の金額の構成比の推移
※出典:令和元事務年度における相続税の調査等の状況(名古屋国税局)より
名義預金(名義保険・名義株も含む)やご親族様への過去の贈与について、相続税の税務調査の指摘があるとしても、国税庁のホームページでどのような状況で名義預金(名義保険・名義株も含む)として相続財産に計上が必要かは明確に記載されていません。
相続税申告を税理士に依頼するとしても、過去の入出金履歴やご相続人様へのヒアリング等により、どこまで相続税の税務調査に備えるかは税理士事務所によって異なります。
まずは、ホームページで『税務調査に強い』や『税務調査で指摘されない』などのイメージで決めるよりは、具体的にその事務所が何をどこまでするか面談等で確認するとよいでしょう。
さらに、相続税の税務調査のスキルや経験は税理士によって異なりますので、過去の贈与や名義預金など気になることがございましたら、税理士に確認し、納得のいく回答が得られる税理士に依頼するとよいでしょう。