〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄四丁目14番19号 富田ビル8階
【名古屋市営地下鉄 東山線栄駅】13番出口から徒歩3分
【名古屋市営地下鉄 名城線栄駅】13番出口から徒歩3分
【名古屋市営地下鉄 名城線矢場町駅】6番出口から徒歩6分

お気軽にお問合せください

営業時間:9:00~20:00
定休日:土曜・日曜・祝日

※酒井真美税理士事務所のURLは『sakai-kaikei.com』です。

お電話でのご予約はこちら

052-253-5307

申告書類の押印不要と
相続税の申告

新型コロナウィルスが流行したことにより、在宅ワークが推進され、法人で各種書類の押印のために出社することが必要なのか議論が行われました。

印鑑の押印は日本では根強い文化ですが、現在では電子署名等の代替手段もございます。

税務申告書類の押印も国税通則法で定められていますが、こうした事情により、令和3年度の税制改正により、多くの申告書類は押印不要になりましたので、押印不要と相続税申告の関係について、相続専門の税理士が解説いたします。

申告書類の押印不要と
相続税の申告

税務署に提出する申告書や申請書、届出書等は、国税通則法第1242により、提出する人が押印をしなければならないと定められています。

令和3年度の税制改正により、令和341日以降に税務署に提出する申告書類の多くは、押印不要で提出できるように改正が行われました。

実際には令和341日以前に押印がないまま税務署に提出しても、押印を改めて求めないこととされています。

全ての書類が
押印不要ではない

税制改正により、多くの申告書類等が押印不要になりますが、次の書類は押印不要ではございませんので、注意が必要です。

押印が必要な書類
  • 相続税の特例適用で添付する遺産分割協議書
  • 担保提供関係書類で実印の押印及び印鑑証明書の添付が必要なもの
  • 物納手続き関係書類で実印の押印及び印鑑証明書の添付が必要なもの

相続税申告で知っておきたい
過去の裁決

所得税の確定申告では、一人につき、申告書はひとつです。

例えば、配偶者控除で配偶者の所得を記載したとしても、それだけでは配偶者の確定申告をしたことにはならず、配偶者は自身の年末調整や確定申告で別途申告が必要です。

しかし、相続税では、相続人が2人以上の場合は、相続税法施行令第7条により、一つの申告書に連署して、共同で一つの申告書を税務署に提出することができます。

共同で一つの相続税の申告書を税務署に提出するとしても、従来の取扱いであれば、各人が押印が必要でした。

過去に、相続人のうち一部の人が相続税の申告書に押印をしていない場合、押印していない人が申告をする意思があったのか争われた裁判がございますので、ご紹介いたします。

平成22914日裁決の事例

平成22年9月14日裁決の事例は、相続でもめていたため、相続税の申告期限までに遺産分割協議ができず、相続人のうち1人が相続税の申告書を作成し、自分だけ押印して、申告書を税務署に提出しました。相続税の申告書に押印していない相続人の納税も、申告書を提出した人が代わりに納税をしています。

しかし、税務調査後に、相続税の申告書を押印していない人は、期限内に申告できなかったことの理由書の提出もあるため、共同で申告書は提出していない状態だと税務署に判断されました。そして、相続税の申告書の押印をしなかった人は、期限内に申告書を提出した場合よりも、重い税率である無申告加算税が課されました。

※出典:共同して提出する申告書に署名した者又は記名された者に押印がない場合においては、その申告書がその提出時点において、署名した者又は記名された者の申告の意思に基づいて提出されたものと認められるか否かによって、押印のない者の申告の効力を判断すべきであるとした事例(平成22914日裁決)より

平成27年4月1日裁決の事例

平成27年4月1日裁決の事例は、相続税の申告書に押印がないため、相続税を納付していても、その人は期限内に相続税の申告をする意思がなかったと税務署に判断されましたが、遺産分割協議書の添付があり、相続税の申告書に押印していなくても自身で納税手続きをしているため、押印がないことのみをもって、申告する意思がないとは判断できず、税務署の判断はくつがえされました。

※出典:押印が漏れている相続税の申告書について、納税申告書としての効力が認められるとした事例(平成251月相続開始に係る相続税の無申告加算税の賦課決定処分・全部取消し・平成2741日裁決)より

押印不要で相続税の申告で
注意すべきと考えられること

これらの裁決と申告書類の押印不要を結びつけるのは短絡的かもしれませんが、遺産分割協議でもめている場合の相続税申告書の提出、相続人のうち一人が相続税を立て替える場合の遺産分割協議書の作成は注意が必要かもしれません。

申告書に押印がないことのみをもって、申告書の効力が必ずしも否定されるものではございませんが、状況によっては無申告加算税が課される危険性は認識しておくべきだと弊所では考えております。